舞は反論した。何が間違っていたのか、何が足りなかったのか、失敗したときに原因を追求するからこそ、次につながる。今は耐えられなくても未来は変えられるじゃないですか。
産業中央銀行四谷支店に話を聞きに行くんですよ。
なんだって。相馬が頓狂な声を上げた。おいおいそれじゃ敵に手の内を見せるようじゃねぇか。
どうせ合併するんだから敵じゃありませんよ。昨日の敵は今日の友じゃないですか。相馬さんが行かないのなら、私1人で話を聞いてきます。
大口取引先でスキャンダルが勃発しようか、所詮、俺ら、臨店指導グループには関わりのないことでござんすってか。相馬もやれやれとばかり、目の前の書類に戻っていく。同じ銀行でも、部署が違えば、対岸の火事。その態度には、そんな雰囲気が漂っていた。